ゴールデンウィークの実家、四年ぶりの帰省。ダイスケを出迎えたのは、見知らぬ裸足の女の子と、カレーの匂いだった――。

実家に着いたのは昼過ぎだった。帰省は四年ぶり。家に入ると誰もいない。なんだよ、せっかく帰ってきてやったのに。七時間も運転して腹も減っている。カレーの匂いがする。鍋を温めなおし、とりあえず食おうとしたその時だった。
「ただいまぁー」と誰かが帰ってきた。
若い女の声。俺にはジュンという名の三つ下の妹がいるが、声が違う。誰だ?と玄関を覗くと、見知らぬ女性。妹と同じ歳の頃だ。
「えっ?」
驚き見ていると、その娘はカマチをまたいだところで立ち止まり、靴下を脱いだ。脱いだものはそのまま放置し、ヌシヌシと室内に入ってくる。靴を脱ぎ、靴下を脱ぎ、裸足になった。なんだこの娘?ダイニングテーブルに座る俺を見つけて言った。
「あ?お兄ちゃん?」
「お兄ちゃんって、君、誰?」
「私、ユイって言います、よろしくお願いします、ペコリ♪」
–と、その子はきちんと頭を下げて挨拶をした。