なんでカノジョ作らないの?

 高校の帰りバスターミナルで、ミオと一緒になった。彼女は、いつものあの笑顔を俺に向けている。タレ目、タレ眉、誰よりも可愛い笑顔を。

「リク、なんでカノジョ作らないの?」高校時代ミオからの無邪気な問いかけが、数年後、終電の片隅で重なり合う。外資系営業として社会人生活に擦れていたリクは、深夜の通勤車両で痴漢に遭い震えている女性を見かける。彼女は高校時代の憧れたミオだった…

#エモチックロマンス
#なんでカノジョ作らないの?
#広ヒロスケ

なんでカノジョ作らないの?©︎広ヒロスケ Amazon Kindleストア99円 Kindle Unlimited対応

なんでカノジョ作らないの?
Amazon Kindleストア99円 Kindle Unlimited対応

サンプルページ

左にスライドさせて読み進めてください

「リク、なんでカノジョ作らないの?」

 高校の帰りバスターミナルで、ミオと一緒になった。

 彼女は、いつものあの笑顔を俺に向けている。タレ目、タレ眉、誰よりも可愛い笑顔を。

「そんなことズケズケ聞く?作らないんじゃなくて、出来ないんだけど」

 俺の心臓は、猛スピードで拍を打った。

「リクなら、すぐに出来ると思うよ、ちょっとガンバレば」

「そんな訳ないっしょ、普通にモテないし」

「リクはもてるよ、やさしいモン」

「いや、俺モテない」

「もっと自信もってイイよ、リク」

 ミオは、大きな瞳で、俺を見てる。ひとの気も知らないで、どんな気持ちで言ってるんだろう。

「ミオは、彼氏と順調?」

「あっ、私のバス来た!」

 俺の質問から逃げるように背を向ける。

「じゃーねッ」

 手を振り、小走りでバスに乗り込む姿が、やっぱり可愛くて、胸の奥が締めつけられる。

 彼女は、バス最後部の席まで進み、窓越し、俺にもう一度、手を振ってくれた。

 あの笑顔、あのタレ目、あのタレ眉で。エアブレーキを鳴らしながら、バスは彼女を、別世界へ運んで行く。

 ベンチの前に取り残されて、もういちど、彼女を想う。

 俺がもてたいのはさ、

 ミオ、

 君になんだよ。

 もう、

 卒業になっちゃうよな。

 無理だよ…

 よく笑うミオは、男子からも女子からも慕われる、クラスの人気者だった。超美少女というワケじゃないんだけれど、少しぽっちゃりしていて、話すと楽しいし、あの愛嬌満点の笑顔を見れば、誰だって、ミオのこと、好きになっちゃうよ。

 俺とミオは、一年で同じクラスになり、ふたり情報委員に選ばれた。情報委員は、クラスのIT的必要をサポートする。ギークってほどじゃないけど、小遣いで自作PCを作れるくらいの技量はある俺を、デジタルを苦手とする担任はいろんなことで当てにした。

 文化祭予算のエクセル化、保護者会用のパワポ作成、配布原稿のワード入力、エトセトラ。

 いつのまにか先生の秘書的な仕事みたいなのばっかりが回されるようになったが、俺は、喜んですべてを引き受けた。ミオと一緒に過ごせるからだ。


全編を読む

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です