四年前、私は、借金で首が回らなくなっていた。前夫の多重債務だった。
「左手薬指のサイズはいくつなの?」 幸せの絶頂にいたはずだった。借金苦から自分を売る決断をした私を、泥沼の過去から私を救い出してくれたのは、誰よりも誠実な彼だった。婚約指輪をあつらえ、新生活を目前にしたある日から、彼の様子が一変する。 口数は減り、目を合わせてくれなくなった。彼が心に隠していた本心とは…
#エモチックロマンス
#冷たいオムレット
#広ヒロスケ

冷たいオムレット
Amazon Kindleストア99円 Kindle Unlimited対応
サンプルページ
左にスライドさせて読み進めてください
この頃、彼の言葉数が、特に少なくなった。
話してるときに、目を見てくれなくなった。怖かった。もしかして、私たちの関係、ダメになっちゃうのかな。
二ヶ月前、彼は聞いた。私に。
「指のサイズはいくつなの?」
赤面しながら、小さくかすれた声で。
「左手薬指の大きさが知りたい」
胸が締めつけられた。
出会ってから二年。お互いの部屋を行き来して、半同棲状態。それぞれがどんな人間なのかも、十分にわかってる。過去がある私を、彼は愛してくれた。何も言わずに、受け入れてくれた。感謝してる。言葉にできないくらいに。
もし彼が望むのなら、自分の魂を差し出しても良い。それくらい、愛してる。世界の誰よりも、彼を愛してる。
四年前、私は、借金で首が回らなくなっていた。前夫の多重債務だった。
「あと幾らあるの?ねえ、お願いだから、本当のことを言って」
借金の総額は、聞くたびに膨れていった。カードを何枚も使って、借金と返済を繰り返していた。本人にも、どうなっているのかが分からない状態だった。賭け事がやめられなかった。
私の預金は、とうに底をついていた。ドラッグストア、パートの給料では、どうしようも無かった。ついに、前夫の給料は差し押さえられることになった。破産しか道は無かった。
全編を読む
