遺伝子レベルで君が好き

彼、運命の人だ。

親友ミサキの結婚式でメイが出会った見知らぬ美しい男。視線が触れた瞬間、魂を貫く電流が走り、時間も重力も失われた。彼はミサキの兄だった。初めて会ったのに、お互いの心と身体がどうしようもなく惹かれ合っていく。理性の枠を越えた衝動、止められない運命の吸引力。結婚式の喧噪の中、ふたりの世界だけが烈しく燃え上がる。

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遺伝子レベルで君が好き
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 結婚式で彼を見た。

 私の親友、ミサキの結婚式で。目を奪われた。ううん、もっと強烈。魂ごと持ってかれる感じ。そのとき何が起こったのか、自分でもよくわかんない。ただの一目惚れなんかじゃない。もっともっと激しい何か。強烈な出会いだった。

 ミサキは、二十四歳で結婚。いいなあ。うらやましい。彼女とは中学、高校と部活を共にして、お互いの家を行き来するような仲良しで、大切な存在、ただひとりの親友。

 モテ体質というのか、ミサキには中学時代から常に彼氏がいて、私の知る限り、ボーイフレンドが途切れたことなんて一度もないし、重複している時期も結構あった。

 そんなミサキから、男とは、彼氏とは、みたいな話をたくさん聞いたけど、まだ誰とも付き合ったことのない私には、その世界がよく分からない。二十四歳の今日まで、男性経験ゼロ。もうすぐ二十五歳になっちゃう。焦ってるし、困ってるし、このまま歳をとることが恐怖でしかない。

 異性に興味がないわけじゃない。心を開いていない訳でもない。学生の頃は、男子とも普通に話せてたし。今、職場の男性ともちゃんと話せるよ。

「メイちゃん、今日も可愛いね」って言ってもらえるし。駐輪場の管理人さん、ひ孫が三人いる男性なんだけど。

 正直、私はモテないと思う。告白されたことがない。ミサキは「メイは、まだ出会っていないだけだよ」というけれど、そもそも出会いというものが、私には分からない。

 絶対付き合いたい、って思うくらいに好きになった人もいなかったし、好みのタイプを聞かれても答えられない。芸能人にもあんまり興味がない。もしかすると、男性に縁のない星の下に生まれついてしまっているのか。

 そんな私が、動けなくなった。
 ミサキの結婚式で。
 その人を見た瞬間。

 披露宴が始まる前に、トイレを済ませて、会場に戻ろうとした時だった。入り口の大きなドアのところに、彼が立っていた。

 私はギョッとして、息をのんだ。何かスゴイものが目の前にいる。特別な存在がそこに在る。何て表現すれば良いのか分かんない。異様に美しい生命体と遭遇しているような、怖さがあった。

 その人は、人間だった。人間の男だった。スーツを着て、扉の脇に立ち、来訪のひとり一人に挨拶をしている。私はその場から、動けない。両脇から、屈強な漢らに抑えつけられているみたいに、全く身動きが取れない。金縛りにあったことはないんだけど、きっとそんな感じ。

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